リニアPCM系の形式でWAVとFLACがあります。WAVは無圧縮の形式、FLACは可逆圧縮(ロスレス)の形式になります。FLACは可逆圧縮になるため、圧縮されつつも元のWAVと同じ音になるとされています。一方で、WAVとFLACを比べるとWAVの方が音質が良いと主張する人たちもいます。
これについてプロはどのように見ているのでしょうか?
筆者は、WAVはストレージの容量を大量消費し、かつ使い勝手が良くないと考えていいます。そのため、音質差があったとしてもWAVを使おうと考えたことがなく、それ故に音質差についての比較検証をやったことがありませんでした。
たまたまネットを見ていたら、2017年4月14日付けの記事で音質差について言及しているコラムがありました。
このコラムは「Believe What You Hear, Not What You Read. DSD – WAV – FLAC Conversions – What Does It Mean? 」になります。
コラムを書いている人は、音楽配信サイトを持っているBlue Coast RecordsレーベルのCookie氏になります。Cookie氏はレーベルの創始者であり、プロデューサーでもあり、チーフエンジニアでもあります。音楽配信についてはプロ中のプロと言っても良いでしょう。
Cookie氏らは、3人でWAVとFLACの音質差を以下の条件でテストを行いました。
- テストは2008年から何十回も実施した。
- 1名が機械の再生操作、残りの2名は目隠しされた状態でWAVとFLACのリスニングの比較を実施。
- 再生操作をしている1名は、目隠しをしている2名に何をしているかの情報は提供しない。
- 目隠しをしている2名は、互いに話し合うことができない。
- 15~30秒のサンプルの聴き比べを行った。
- FLACは複数段階の圧縮レベルで比較した。
上記の通り、被験者の互いの意見を反映させることなく、完全に各自の主観でのリスニングの比較を行ったことになります。
その結果は「音質差はあった」と結論付けています。WAVの方がより広がっていく印象があったそうです。以下がその結論の文脈になります。
Many people believe that WAV converted to FLAC files should be exactly the same. In 2008, we conducted the first comparison test before launching our digital download store. Sure, FLAC files would be more convenient for everyone and save us money for storage and download bandwidth, but before we made that decision to stand behind the theory of “sounds exactly the same” we wanted to prove it to ourselves and these were the best files we could offer our customers.
Unfortunately, we found that not to be true. In blindfold test, we could tell the difference. The original file always sounded better — more open and a wider stereo image. We tested various levels of FLAC conversions and found that they all performed differently as well. Even reconstituting the FLAC back to WAV(2) did not result in the WAV(2) sounding like the original. So, we made the decision to release WAV files in 2008.
大変興味深いことに、FLACをWAVに変換(仕組み上はロスレスで変換されている)したとしても、そのWAVを再生すると元のWAVと異なる音になったとのことです。コラム内では、これ以上に詳細な内容は書かれていませんでした。
上記のような経緯から、Blue Coast RecordsではWAVのリリースに踏み切ったそうです。しかしながら、Cookie氏らはWAVの方が音質が良いとしつつも、FLACについて否定しているわけではありません。やはりFLACの利便性は良いため、顧客に対しては選択肢として提供していくという方針を採っています。
この記事を読んで、もしかしたらWAVを使いたくなる方もいらっしゃるかと思います。WAVを使うとFLACと比べストレージ容量の消費が最大で2倍近くになり、さらに音源ファイルに付与できるタグの情報も少なくなってしまいます。ご自身が音質を採るか、利便性を採るかで利用する形式を選ぶと良いでしょう。
マニア says
①WAV→FLAC→②WAV
①と②は、全く同じものです。
音質に差が出るはずがない。
これで差が出るというのなら、ファイルコピーしただけで音質が劣化することになる。
通りすがり says
マニアさんへ
同じものなわけないでしょう?
①はWAVをFLACに可逆圧縮している
②は可逆圧縮したFLACをWAVに戻している
その可逆圧縮の時点でわずかながらでも劣化しているんじゃないか?
ということじゃないかな。
医学のプロとして断言できるが
人間の耳は想像以上にバカなんだよ。
全く同じで音質に差がない!という科学データを見せてほしいもんです。
偶々みた人 says
差は出ると思いますね。decoder以降で癖(味)がついてる感じはあります。
匿名 says
WAV -> Lossless FLAC -> WAV と変換した場合、元の WAV と変換後の WAV のデータはまったく同じです。一応実際に試してみましたが、ハッシュ値は同じでした。
隠居プログラマ says
確かに、音質に変化が出るというのはおかしいですね。
変化があるとしたら、可逆圧縮ではなく非可逆だという事になる。
可逆圧縮とは元のデータが完全に再生出来ると言う事で、データが同じなのに音が違うというのはデジタルではありえないです。
とおりすがり says
①WAV→FLAC→②WAV で①と②は同じだと考えるところから間違ってる。
ハッシュ値が同じとかというのも同様。
①WAV→再生→耳
②FLAC→WAV→再生→耳
なわけ。
FLACをWAVにデコードしながら再生してるんだから同じなわけない。
し・な・が・らってとこがみそ。無影響ではあり得ない。
デジタルデータの違いじゃない。再生方法が違うだけの話。
簡単なことを難しく考え過ぎ。
rdk says
職業病?
WAV → FLAC → WAV へと変換した時に音質に変化が有るか無いかはそれこそ
ご自身で FLAC へファイル変換したことがあれば,議論の余地なし
【FLACへのファイル変換が ”可逆” か ”非可逆” の,どちら?となるか】は
指定するレベルが ”LEVEL 0” でのみ可逆データ(ロスレスのデータ圧縮)
以降 ”LEVEL 1 ~ 8”は,数値が高くなるに連れて圧縮率は上がるが,
冗長性が下がり,非可逆圧縮データとなる
つまるところ”LEVEL 0 での圧縮” のみが可逆圧縮であって,その他は全て非可逆となる
そして・・・・・・・・・・・・
俺は眠いから寝る。。。CU soon…
名無しの鬼太郎 says
理論上は音質が変化するはずがありません。
が、実際変化しているということはどこかに問題があるということ。
そして前提としてデータ自体の変化はしていない、と仮定する。
・・・で、おそらくですが
再生するときはFLACをそのまま再生してるわけじゃなくリニアPCMに自動変換されて再生してるはずなので
リニアPCMそのものであるWAVに比べるとFLAC(他の可逆圧縮も)には冗長性があります。
おそらくそこが音質に影響を与えているのでしょうね。
つかそこしかないです。
よーするにFLACで保管して再生するときだけWAVに手動で変換して聞けば良い(とりあえず改善するまでは)
なのでWAVでダウンロードする必要はないんじゃないかな。
再生時にWAVであればよい、という結論かと。
オジソン says
可逆圧縮は吹くgwんしたら元と同じデータになるから「可逆」圧縮なの。
違うというやつは日本語から勉強しなおしてチョ~ダイ。
mak says
なんか理論上とか訳のわからんことが書いてあるのでテストしてみた。
オリジナル.wav を flac 1.3.2でエンコード レベルは0~8すべてを実施。
その後 flac 1.3.2でwavにデコード。
結果 出てくるwavはサイズおよびバイナリレベルで同一。
エンコードされたファイルをWinAmp 5.64でデコード後ファイルに落とす。
結果 出てくるwavはサイズおよびバイナリレベルで同一。
WAVに比べるとFLACに冗長性があると書き込まれていたが、
WAVの冗長性を圧縮してFLACにするんだから冗長性はむしろ無くなる方に動く。
実際に.flacをやzipで圧縮すると、どのファイルも1%すら圧縮がかからない事から
FLACの方が冗長性があるとは考えにくいです。
再生しながらだと音が変わるという書き込みがあったが、
デコードした同一の生のサウンドデータをサウンドカードなりサウンドチップが
再生するタイミングで順次書き込んでいくだけなので、相違はでません。
もちろんFLACのリファレンスデコーダではないクソな再生をする処理系なら話は別だが、
それがFLAC圧縮そのものの汚点ではない。
デコーダ以降で味が付くという書き込みはまさにそれで、
デコードしたデータに脚色をするプレーヤの問題であってFLACの問題ではない。
いまどきWinampなんて使うなという突っ込みは無しでお願いします。