オーディオ誌ではPCオーディオを絶賛している記事も見られますが、メリットの裏には必ずデメリットもあります。ここではきちんと両方の視点にスポットを当てていきたいと思います。
Contents
PCオーディオのメリット
- CDより高音質な「ハイレゾ音源」を扱うことができる
- 音楽をデータという形式で保管するため、保管スペースを取らない
- SHM-CDやHQCDのような、媒体の素材による音質影響を受けない
- 音楽データに情報を追加することにより、再生する曲の情報を充実させることができる
- とにかく音楽再生に関する操作が楽である
CDより高音質な「ハイレゾ音源」を扱うことができる
詳細は後のコラムで解説しますが、CDより高音質なハイレゾ音源を扱うことができるようになります。
既存の円盤メディアと比較すると、SACDやBlu-rayオーディオと同等、またはそれ以上の音質を確保することができます。また、円盤メディアに記録される音声データは厳密な規格に縛られているため、音質は規格で決まってしまいます。
PCオーディオでは、音源の音質が円盤メディアの規格に縛られない分、音質の向上を望むことができます。例えば、DSDという音源をPCで再生する場合、SACDの4倍もの情報量を持つ音源を再生することもできます。
音楽をデータという形式で保管するため、保管スペースを取らない
これは現物至上主義の方にとってはNoを突き付けたくなる話かもしれません。筆者も実は当初はその一人でした。
ただ、CDの保管枚数が2000枚を超えるあたりから、現実的に物理的な保管スペースの問題に直面するようになります。この問題は非常に深刻で、あらゆるロスを誘発するようにあり、筆者は相当なストレスでした。筆者が感じた問題をあげます。
- 保管場所が生活空間を侵害していく
- 保管や物品整理にかかる時間のロスが生じる
- 保管したCDを探すための時間によるロスが生じる
- 保管するためのCD棚やボックスなどの部材のコストロスが生じる
上記のように、CDが増えるにつれてお金とともに時間も取られるようになってしまいました。データという無形のものになったことにより、これらの問題が一気に解決することになりました。
SHM-CDやHQCDのような、媒体の素材による音質影響を受けない
筆者は既にこれらの媒体の聴き比べは行っていませんが、SHM-CDやHQCDというのは所詮は16bit/44kHzというスペックの音源を記録した器にすぎません。それ以上でもそれ以下でもありません。
SHM-CDやHQCDの音質の優位性が語れる根拠の一つして「光学特性が優れているので、反射したレーザーを正しく読み取ることができる」というものがあります。しかし、CDはどんなに光学特性が良いとしても、必ずエラーが含まれており、仕組み上そのエラーは訂正されます。
PCオーディオでは、既にエラー訂正されて取り込まれた音源を再生するため、元のCDの光学特性の影響を一切受けないのです。
音楽のデータに情報を追加することにより、再生する曲の情報を充実させることができる
PCオーディオでは、再生する音源のデータ(音楽ファイル)に曲の情報を埋め込むことができます。埋め込むことができる情報は、曲のタイトルや作者名、作曲者名、ジャケット画像などになります。これらの情報の総称をタグと言います。
タグがあることで、音源を再生する際に曲情報がより分かりやすくなり、音源の管理もやりやすくなります。
とにかく音楽再生に関する操作が楽である
一番のメリットはこれになります。PCオーディオの再生は、音楽プレイヤーのアプリを起動し、そこに再生したい音楽ファイルをまとめて登録します。あとは、登録された曲が順序に再生されていきます。CDを入れ替える手間はもちろんなく、曲の情報もはっきりとわかります。
実際に体験してみるのが一番ですが、CDの出し入れがなくほったらかしで次々と再生できるのは非常に便利に感じることでしょう。
筆者の身内の話になりますが、その方は今までCDプレイヤーを使って音楽を再生していました。ところが、筆者がその身内にPCオーディオをできる環境を導入したところ、CDプレイヤーを廃棄し、PCのみで音楽を再生するようになりました。
それくらいPCオーディオの操作は便利なのです。
PCオーディオのデメリット
もちろんデメリットもあります。PCオーディオのデメリットは以下の通りです。
- 音楽を再生するためにPCを起動しておく必要がある
- PCはノイズが多く出る
- 曲データの保管に注意が必要
音楽を再生するためにPCを起動しておく必要がある
PCは本来何かの作業をするための道具ですが、音楽を再生するためにわざわざ起動しておく必要があります。
最近はだいぶ省電力になりましたが、音楽の再生のためだけに起動しておくのは明らかに多くの電力を消費します。
また、PCは電源を入れてから使えるようになるまでにある程度の時間を要するため、既存のオーディオ機器のように電源を入れたらすぐ使えるということができません。
PCはノイズが多く出る
PCは大量の電子パーツが積まれており、ノイズが多く出ます。本来オーディオに特化している機器ではないため、ノイズシールドがされておらずノイズをまき散らします。
音楽のデータ処理部分を外付けのDAコンバーターに出したりなど、これらへの対策はあるものの、既存のオーディオと比べるとノイズが多いのは明らかです。
ノイズを極限まで減らして、極限の音質を確保したいという人には向いていないかもしれません。
音源データの保管に注意が必要
PCの場合は、音源データの保管にハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブを使います。どちらもある程度使うと寿命を迎えてしまうものになります。
また、これらが壊れた場合に音源データがまとめて吹っ飛ぶということにもなるため、データを守り切れなかった時のショックは甚大なものになります。
上記の理由から、日ごろから予備のドライブを用意してバックアップを取っておく、新しいドライブを買うたびにデータを新しいものに移し替えるといった対応が必要になります。
さすがに「音楽を再生するためにPCを起動しておく必要がある」についてはどうしようもないのですが、残る「PCはノイズが多く出る」「曲データの保管に注意が必要」についてはある程度の回避策があるので後のコラムで触れていきます。
次回予告
次回は、PCオーディオの環境を整える為には何を準備すれば良いかを見ていきます。
PCが必要なのはもちろんですが、PCを使うが故に考慮しなければいけないところがあります。まずはハード編になります。
次回の記事:PCでオーディオ環境を整えるための第一歩:3.音源再生のために用意するもの(ハード編)
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