当サイトの初期コンテンツで「PCでオーディオ環境を整えるための第一歩:6.音源に関する理解(サンプリング周波数・ビット数)」という内容を取り上げていますが、ここではサンプリング周波数は高ければ高いほど良いというまとめ方をしています。
実際、これはこれで正しいのですが、誤解しないでいただきたいのはハイレゾ音源だからCD以上の高音域が収録されているとは限らないという点になります。
人間が聴くことができる音域
ハイレゾ音源の音域について語る前に、まずは人間が聴ける音域について注目してみます。
人間が聴くことができる音域(可聴域)は20Hzから20,000Hzまでと言われています。つまり、低すぎても聴こえないし、高すぎても聴こえないのです。
そして聴こえる音域の上限は歳が経つにつれて衰えていきます。他サイトですが「周波数 耳 テスト 限界 チェック どこまで聴こえる?」にアクセスすると、ご自身の耳が何Hzの音まで聴こえるか確認することができます。Webから再生すると、環境によってうまく聴こえない場合があるため、ダウンロードして再生してみることをお勧めします。
CDで出力できる高音域
前の限界チェックを踏まえて、CDの音源スペックについてみていきます。マニアからは音が悪いと言われてしまうCDですが、実は大変合理的な音源スペックなのです。
そのスペックは44,100Hz/16bitになります。44,100Hzのサンプリング周波数というのは、出力される音域の上限が22,050Hzになります。つまり、サンプリング周波数の半分が出力される音域の上限となるのです。
この22,050kHzという音域の上限には、先ほどテストして聴こえた音は必ず収まるのです。つまり、CDの音域は可聴域より余裕を持って作られているのです。
ハイレゾ音源で出力できる高音域
ここまでくると話はもう見えてくると思います。ハイレゾ音源で出力できる高音域の上限は音源のサンプリング周波数によるのです。
44,100Hz/24bitの高音域の上限は22,050Hz、96,000Hz/24bitの高音域の上限は48,000Hzとなります。ただし、その上限まで高音域が出力されていたとしても、実際に聴こえるのは自分の耳で聴くことができる高音域の上限になります。
参考までに、手持ちのハイレゾ音源で実際に出力されている周波数をお見せします。横軸(出力される周波数)の値の上限が画像ごとに異なるのでご注意ください。
まずは44.1kHz/24bitの音源になります。「Brahms: The Piano Concertos」のトラック1になります。出力周波数は、22kHz付近で切れていることがわかります。
つづいて、192kHz/24bitの音源になります。「チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》」のトラック1になります。音源のスペックでは、96kHzまで高音域がでるものの、55kHzで頭打ちになっています。
さらに96kHz/24bitの音源になります。「Tchaikovsky: Symphonies Nos.4, 5 & 6 "Pathetique"」のトラック9になります。この音源は、前の音源のサンプリング周波数が違うバージョンになり、録音自体は一緒になります。音源のサンプリング周波数が96kHzであるため、出力周波数は48kHz付近で切れてしまっています。
ご覧のように、結局出力される高音域の上限はサンプリング周波数に依存することになり、音源のビット数は全く関係ありません。特に、44.1kHz/24bitのハイレゾ音源の場合は、サンプリング周波数がCDと全く同じになります。以上からも、ハイレゾだからといって、20kHz以上の音が出ていると限らないのです。
柳田 says
>マニアからは音が悪いと言われてしまうCDですが、実は大変合理的な音源スペックなのです。
周波数の話には同意できますがビット数がCDの大問題だと思います。
大昔の古い音源(ダイナミックレンジが狭いので音が小さく聞こえる)で比べれば、マニアどころか耳の肥えていない一般人でも解りますよね。
例えばビートルズの24ビットのハイレゾとCDではアホでも聞き取れる程の音の差があります。