DSDはデータ量が多く、その音質が良いことで知られていますが、配布されている音源ファイルはすべて非圧縮データになります。
ただでさえデータ量が多いものが、非圧縮であるためにデータサイズが大きくなってしまいます。使い勝手の点ではあまり良くないといえます。実は、DSDをそのまま圧縮できるフォーマットが存在します。
WavPackで圧縮できるDSD
ところが、2016年12月からWavPackという昔からある可逆圧縮の形式が突如DSDに対応する発表を行いました。今まではPCM音源を対象とした可逆圧縮の世界に、ついにDSDが対応したのです。
※厳密には、DSTというSACD上で使う可逆圧縮形式もありますが、これはPCでは使い物にならなりません。
DSDの圧縮率はいかほどに?
WavPackは、本来コマンドラインツールで圧縮するものになります。今回、WavPack 5.1.0を用いて、DSDの圧縮を試みました。
音源スペック
- 対象アルバム:Symphony No 4 In F Minor Op 36 & Romeo And Juliet Overture
- 音源スペック:DSD 2.8Mhz/1bit (DSD64), Stereo, DSF Format
圧縮率と使用したオプション
圧縮率とWavPackで使用したオプションは、以下の通りになります。ファイルサイズは、アルバム全体のサイズで表記しています。
形式 | オプション | ファイルサイズ | 圧縮率 |
---|---|---|---|
元ファイル (DSF) | 2,596,118,745 バイト | 100% | |
WavPack (Normal) |
--import-id3 |
1,322,587,831 バイト | 51% |
WavPack (High) |
-h --import-id3 |
1,126,461,641 バイト | 43% |
オプションの説明:
- -h:高圧縮モード
- –import-id3:DSFファイルのID3 v2.3タグを移行する
WavPackの圧縮率を調整するオプションとして-f (高速圧縮)と-hh(最高圧縮)モードがありますが、DSDファイルに対してはこの2つは適用されないため、上記のNormalとHighがWavPack DSDにおいて取り得る圧縮オプションのすべてになります。
ご覧の通り、圧縮率が低いNormalにおいても元ファイルの半分の圧縮率を実現しており、DSDは十分に圧縮できる余地があると断言することができます。
WavPack DSDを再生するには?
WavPack DSDを再生するには、foobar2000でDSDが再生できる環境を導入できればOKです。
詳しくは、DSD再生ガイドの「foobar2000を使った再生方法」をご覧ください。
わんわん says
こちらで、「wavpackによるdsd圧縮方法と再生」を読ませていただきました。
現在、ジャズアルバムを600枚ほど、DSFに変換して、
TuneBrowserで聴いています。
総容量が2TB以上になるため、バックアップの取り扱いに
苦慮していましたが、この記事を参考にトライしたところ、
上手く変換できました。
ありがとうございます。
しかし、アルバム名、アーティストなどのタグ情報が、
全く移行できませんでした。
そこで、「2017/04/29/wavpackによるdsdの可逆圧縮、その効果は?」の項を読ませていただくと、形式・オプションに
-import-id3と設定すると、「DSFファイルのID3 v2.3タグを移行する」と書かれていたので、そのようにしてみました。
しかし、変換実行クリック後、すぐに変換エラーが出てしまい、未実行のステータスが立ってしまいます。
設定方法がまずいのか、実現しません。
お忙しい中、申し訳ありませんが、ご教授ください。
なお、解決のために、こちらの環境をお知らせする必要が
あるようでしたら、何なりとご質問ください。
わんわん says
こんにちは
一昨日、wavpackの「DSFファイルのID3 v2.3タグの移行」について質問させていただいた、
わんわんです。
その後、自分でwavpackのオフィシャルサイトを調べてみました。
すると、コマンドラインオプションが「-import-id3]ではなく、「–import-id3」となっていることに気付きました。
そう、始まりのハイフンが一つではなく、二つでした。
そこで、そのように設定してみると、ビンゴ。
見事に、タグが移行できた圧縮ファイルができました。
これで、容量の節約ができそうです。
ありがとうございました。
katgum says
コメントありがとうございます。コメントがフィルタリングされていて、投稿に気が付くのを贈れてしまいました。
利用しているWordPressの関係で”-“が2つが有効に表示されていないようでした。盲点でした。
上手くいったようで何よりです!