以前のコラム「5.音源に関する理解(可逆・非可逆)」で、音源ファイルには可逆圧縮と非可逆圧縮があるということを見てきました。
原則は可逆圧縮を使うべきなのですが、何らかの理由で非可逆圧縮を使わなければいけない場合も出てくるかもしれません。今回はそのような場合にどのような方針で音質を確保すれば良いかを見ていきます。
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音質確保のカギはビットレート
ビットレートとは、1秒間に何ビットのデータを音源に割り当てられているかというものになります。単位はkilo bit per secondを略して、kbpsと表現されます。
もちろんビットレートは大きければ大きい程音質は良くなるのですが、あまりに大きいと非可逆圧縮を使うメリットがなくなってしまいます。
ビットレートの割り当て種類
ビットレートの割り当て方法には種類があります。大きく分けて種類は3つあります。
- 固定ビットレート(CBR: Constant Bitrate)
- 可変ビットレート(VBR: Variable Bitrate)
- 平均ビットレート(ABR: Average Bitrate)
固定ビットレート(CBR)
固定ビットレート(CBR)は、毎秒同じビットレートを割り当てる方式です。ビットレートが一定であるため、圧縮後のデータ容量を予想しやすいのがメリットですが、ビットレートが少なめな場合、多くの音が重なり複雑な箇所では音質が劣化する恐れがあります。
可変ビットレート(VBR)
可変ビットレート(VBR)は、音源のそれぞれの箇所の情報量により、割り当てるビットレートを変化させていきます。例えば無音の部分はビットレートを少なく、多くの音が重なる複雑な箇所はビットレートを多くします。圧縮後の音声品質が確保しやすい反面、圧縮後のデータ容量が予測できません。それでも非可逆圧縮の場合は、必ず元音源より小さいデータ容量には落ち着きます。
ちなみに、可逆圧縮の音源ファイルは必ず可変ビットレートになります。
平均ビットレート(ABR)
平均ビットレートは(ABR)は、固定ビットレート(CBR)と可変ビットレート(VBR)の中間をとったエンコード方法です。複雑ではない箇所はビットレートを少なく、複雑な箇所のビットレートを多くすることによって、トータルで指定した値の平均値のビットレートに収めるというデータの割り当てを行います。
どのビットレートの割り当てを使えば良いか?
どのビットレートの割り当てを使えば良いかは、完全好みなのでどれでもOKです。
データサイズをコントロールしたいのであれば固定ビットレート(CBR)、音質にできるだけ配慮したいのであれば可変ビットレート(VBR)になるかと思います。
筆者は、品質について考えるのが面倒なので、ビットレートを多めにした固定ビットレートを使っています。
ビットレートの割り当て目安は?
これは筆者の経験則ですが、だいたい256kbps以上の品質になれば音質に不満が出にくくなってきます。音楽CDの場合、無圧縮で1411.2kbpsとなるため、256kbpsを割り当てたとしたら11分の2の圧縮率になります。
たまにMP3が128kbpsでCD音質相当と表現しているアプリがありますが、実際に聴いてみるとヴァイオリンの減の音が弱っていたり、シンバルの音がつぶれていたりと気になる点が多くなってきます。
上記は筆者の主観が多く入っているので、実際は何度かテスト圧縮をかけてご自身の耳で納得ができるビットレートにすることをお勧めします。今時のPCでは圧縮に時間はかからないので、簡単に確認できるはずです。
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